個人的体験・パソコン指導

2004年の年明け、PC仲間の一人から仕事の依頼が来た。パソコンを使っての仕事の依頼であった。暇を持て余していたこともあり、さほどの高度な知識や技術の必要も無いという内容だったので快諾した。その仕事とは”パソコン指導員”だった。自分でも人にものを教えるという行為は生まれて初めての経験。はたして自分の知識や技術が通用するのかどうか多少の不安はあったが、思い切ってこの依頼を受けた。場所は大阪の東の端、奈良県境に近い柏原市にある府立高校。この高校で生まれて初めて『先生』と呼ばれる体験をした。
更にその翌年から地元の区民会館のパソコン教室でも、ボランティアのパソコン指導員を始めることになる。それ以来現在までのこの4年間、パソコン指導を続けてきた体験を綴ってみる。
2007年11月30日更新
JR東西線、環状線、大和路線と乗り継いで、更に駅から徒歩15分の登り。通勤時間1時間30分、奈良県境まで約2キロ。澄み切った空と山に囲まれた静かな環境の中にその高校はあった。裏山にはブドウ畑が広がる。ここは大阪でも有名なブドウの産地でもある。
校舎の4階から見渡すと一面に緑の山々が広がる。静かな環境に囲まれた高校。
授業の場所はLAN教室。生徒用のデスクトップ型端末機が約40台。それをコントロールする教壇機が一台。
生徒一人ひとりにIDとパスワードが与えられ、授業の開始と同時に個々でログインする方式。
生徒一人ひとりの授業内容は、クラスごとのフォルダに収められ指導指針に生かされる仕組みになっている。この学校では卒業までに日本商工会議所主催のパソコン検定、ワード三級およびエクセル三級の全員取得を目指している。
授業のない時間帯は図書室の中の事務室に席を与えられ、そこで図書係りの仕事をしながら待機する。職員室での待機では気疲れするだろうと教頭が配慮してくださった。30年以上も本に関わる仕事をしてきたので、何よりも自分にとって最も心が落ち着く場所だった。そして生徒との交流も楽しめた。
休み時間図書室に遊びに来る2年生の生徒。授業は主に2年生の必修と選択科目が担当だった。
図書室内にあるパソコン・コーナーは昼休みや放課後に、インターネットをしに来る生徒で賑わう。
1週間の担当授業は二年生6クラスの必修科目12コマ(各クラス2時間)、二・三年生の選択科目各2コマの週16時間。内容はワード・エクセル・ホームページ作成。二年四組の生徒たちと(写真上)
素直で人なつっこい生徒が多かった。1学期の体育祭で
2005年から新たに地元の区民会館で主催されているパソコン教室のボランティアを始めることになった。さらにそれに加え地元小学校のPTA主催の生涯学習教室のパソコン教室にも指導員として参加。
受講生の大半は中高年層。教える方も中高年が主体で、受講料も安価で気安く受講できるのが魅力だ。
講習内容は初めてパソコンに触れる人から、初心者向けワード・エクセル・インターネットなど。
キーボードに触れるのも初めて。マウスの操作も初めて。という中高年の生徒さんにも丁寧に指導。
今や職場でも学校でもパソコンは必須アイテムだ。そして、すでに仕事を引退した中高年層にもパソコン熱は高まりつつある。この教室にくる受講生の大半は60歳代から70歳代。そのうちの7割が女性である。受講の動機は様々だが『時勢に取り残されないために・・』や『ボケ防止に・・』という理由が多い。
今後、団塊の世代が定年を迎え、それまで使ってこなかった人たちが、新たにパソコンを使い始める時代がやって来ることは充分予測できる。そして”中高年が中高年に教える”という図式が出来上がる。
中高年層の初心者にパソコンを教えると言うことは至難の業である。何度も同じことを繰り返し説明しなければならない。5分前に説明したこともすぐに忘れる。パソコン用語も殆どが英語で生徒にとっては覚えにくい。しかし、それを根気良く繰り返し説明し、何度も同じことを反復することで、少しずつ身についてくる。これからは、この中高年層にとってパソコンは間違いなく必要な道具になってくると思う。